宇都宮邸
年代 | 1989年 |
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所在地 | 東京都世田谷区 |
主要用途 | 専用住宅 |
敷地面積 | 142.15㎡ |
延床面積 | 230.74㎡ |
建物の高さ | 9.9m |
構造 | 鉄筋コンクリート造 |
階数 | 地下1階地上2階 |
ここは多摩川の河岸段丘の一部で宅地造成し分譲されてもう四半世紀は経過している。街区に注ぐ支流には桜並木が植栽され、緑豊かな景観を呈している。この敷地は第二種風致地区に指定された街区の取り付きにあり、角地で四方が段上に造成されている。この計画にあたっては、高低差から生まれる視線の立体的交差に注意をはらっている。街とは深く結びたいが、隣地や沿道からの視線は気になる。そこで沿道に対しては、行き交う街の人と目をかわし声が掛け合えるアプローチ空間と緑の提供を考えた。外観ではプライバシーのガードがあまり強くならないように、窓の表情に工夫をした。いろいろな窓のデザインで表情を豊かにしながら、出窓という仕掛けで視線に対し外からも内からも直接的でない緩衝する間が出来るよう配慮した。平面の構成はライトコートを軸にして展開している。2階はライトコートとバルコニーを介してダイニングと居間を結び内側に開放的な空間とした。街並みに対する提案を含め住宅の一つのプロットタイプになればと思っている。
多摩川に注ぐ整備河川と田園都市線の狭間にある傾斜地に階段状に造成された住宅地の一角にある。緑は多いが、二子多摩川駅にも近く、繁華街からは外れていても、少し喧噪が感じられる環境にあった。敷地は歩行者の視線や周りの住戸からの視線が気になる、傾斜地で感じることの多い不安定感を持っていた。そこでまず安定した生活の場をもとめて、土を盛り上げて築く小さな砦、土塁のような、まるでそこから生まれ出たように大地に根を下ろした建築を考えた。接道するフロアは車庫にして地階となった、1階はスロープでアプローチする玄関と主寝室、書斎、2階はダイニングとリビング、1,2階は階段とライトコートをコの字型に抱え吹き抜けている。生活の中心を2階にして周囲には出窓を設け開放的にしている。出窓は内外の視線に間をとっていて見合うことで生まれる不安をなくしてくれる。外壁は街角部分に鋭角をつくるように曲面を描き、新しい陰影をもたらしながら、素材であるレンガタイルから連想される様々な建築要素をコラージュして静かな賑わいを街に提供しようと考えた。